演技・技術関連

【声優レッスン本レビュー】『演技と演出のレッスン』鴻上尚史

ひろ
ひろ
こんにちわ、ひろです。

専業でボイスオーバーアーティストを生業にしています。

まずボイスオーバーってなに?という人はこちら。

要するに、「声優・ナレーションをはじめとする宅録で行う声のお仕事全般」を指します。

専業1年目にしてボイスオーバーで月収50万円を達成した経験を元に、

声を仕事にしてみたい、副業を作りたいという人、

TV・アニメで活躍する声優やナレーターを目指しているという方へも、

有益な情報をお届けしたいと思っています。

今日もレッスン本のレビューです。

先人の教えが学べる本は大事ですが、若い頃は特に金がない。

新品で何千円する本で失敗はできない。

という事で、当ブログで声の仕事に関わる本をレビューして、本当に買うべきかどうか吟味する手助けになればと思います。

演技と演出のレッスン 著:鴻上尚史

いや鴻上さん2連続!となってしまうかもしれませんが、

これはセットで語らなければなるまい。一度に両方紹介せんかいと言われそうですが、こっちはこっちで語りたい!

基礎と演技は両輪。演劇界の大家、鴻上尚史さんの教えはこの2セットで受けましょう。

それぞれわかりやすい色をしているので、

巷では緑本、赤本(ピンク本?)と言われてるんじゃないかなぁ(テキトー)

本当に言われてなくもなさそうなところを突いてみました。確認はしません。

プロフィール(再掲)

著者は鴻上尚史さん、早稲田法学部卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。

岸田國士戯曲賞も受賞。

日本劇作家協会会長、日本劇団協議会・日本演出者協会理事など演劇界において重役を担いながら、

現在も虚構の劇団などで脚本、演出を手掛ける。

小劇団界を引っ張ってきた演劇界の大家です。

帯ではあの著名な映画監督堤幸彦さん絶賛!と書いてあります。

そのアプローチは舞台だけでなく、映像、そして声の芝居でもバッチリはまることの証左ですね。

演技レッスン

さて、発声と身体のレッスンの時もあったように、

こちらの本でも、

俳優とは何か、何を求められているのか、俳優の技術とは、と鴻上さんの思う定義が語られています。

なんと無くお芝居楽しそ〜、学んでみたい〜という方には、ここだけでも元が取れそうなくらい、噛み砕いて凝縮した俳優論を語ってくれています。

その説得力は小劇団界を引っ張ってきて、人生を演劇に支えた鴻上さんの重みのある言葉が、強く刺さり、腹に落ちます。

演技メソッド

さて、現代にはチェーホフやマイズナーなど、色々確立した演技メソッドがありますが、

その中でもこの著書では「スタニスラフスキーシステム」と呼ばれるメソッドをベースに、鴻上さんの経験も含めた形でレッスンが進んでいきます。

スタニスラフスキーをベースにした理由、そして日本と演劇の歴史についても語られているので、声の世界にも流れる演劇の歴史は知っておいて損はないと思います。

スタニスラフスキーさん自身が書いた著書「俳優修業」という有名な著書もあるのですが、

だいぶ太い上に翻訳で難解な部分も多く、レッスンのやりとりも交えながらの説明などで、なかなか読み解くのにカロリーを使うものだし、本も「割高」ですので、噛み砕いて説明してくれる鴻上さんの本が導入にはとってもお勧めです。

演技なんて要するになりきればいいんでしょ!とトライする人も多いですが、

そもそもその人になりきって「考え・感じて・動く」、
声であれば「考え・感じて・喋る」(もちろんイメージの中で動いているのですが)

といった、やっているつもりで全然できていない事を、一つ一つ、人間の生理に基づいて紐解いていき、

一つ一つの感覚を意識と無意識の間でコントロールできるようになった先に、

役を生きる。ということが可能になってきます。

その為のアプローチと、その感覚を得るためのエクササイズが段階的に書かれています。

感覚や感情の記憶、といったじっくりとしたエクササイズの積み重ねが必要なものから、

サブテキストやスラッシュレッスンといった、知ることだけでも劇的に捉え方が変わってくるようなものまで、

きっちり意図と注意点を交えて解説してくださいます。

個人的に感銘を受けた「終わりに」

どうしても声の業界。特にアニメともなると、

本当にオーディションに受かる以外で胸を張って声優ですと言える機会がありませんでした。

ボイスドラマや朗読などはチームでできても、一番の目標はやはりアニメなので、そこにたどり着いていない自分の存在ってなんだろうという思うこともしばしば。

そんな中で鴻上さんの書かれていた「プロとアマチュア」という件。

詳しくは本の中で読んで欲しいですが、

ピアノの先生が町の中でピアノ魅力と技術を広めているように、

一流のプロとなり得ていない役者であっても、

この声の世界というジャンルのすそ野を広げることのできる存在でもあるんだ。

この話を受けて、自分は細々とでも続けた上で今があるし、講師をやってみようと思ったのも、
この話が自分の中に響いていたからだと思います。

まとめ

なかなか答えがないように思える芝居に対して、

わかりやすく噛み砕きながら、一つの解をくれるこの一冊。

演技に悩む人、メソッド演技に触れたことがない人、これからやってみようかなと思う人、

演劇のみならず、人生は舞台。感情は人を動かす。

魅力的な人間になるためにも役に立つ知識がいっぱいです。

演劇への深い造詣と愛を感じるこの一冊。

ぜひ手に取ってみてください。

ではでは。