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【声優本レビュー】『わたしの声優道』インタビュー:藤津亮太【オススメ】

ひろ
ひろ
こんにちわ、ひろです。

専業で、宅録での声のお仕事=ボイスオーバーを生業にしています。

声を仕事にしてみたい、副業を作りたい人という人へ情報をお届けしています。

今回は声優本レビューです。

若手のベテランとの戦い方、それはベテラン達の失敗や経験をいち早く吸収しきって、若さを武器にその先の感性にたどり着くことです。「守破離」というやつですよね。

声の仕事はどこまでいっても実技なので、スクールやワークショップへ通うということも実に有意義ですが、
数千円そこそこ、中古ならより安い価格で、ボーッとしていたら手に入らない、一流のベテラン声優たちが何十年かけて蓄えたであろう知見が手に入るのだから、書籍から一流の思考を吸収することはやっておくべきことです。

ただ、若手時代を振り返れば、スクール代もある、養成所代もある。家賃などの生活費を安い時給のバイトで稼ぐカツカツの日々。
そこから、本当に為になるか読むまでわからない本にお金をかける事なんてなかなかできなかった頃が思い出されます。

ですので、今私が色々声に関わる書籍を読んで、どんな人に合いそうかなどを含めレビューしていければと思います。

わたしの声優道 インタビュー:藤津亮太

今回ご紹介の書籍はこちら。

アニメーション評論家、フリーライターをされている藤津亮太さんが、声優のプロフェッショナル13人にインタービューした内容が書き起こされている書籍になります。

アニメ関連の連載をされていたり、講座を行っていらっしゃるそうです。

今回のインタビューのお相手は13人のレジェンド声優。
井上和彦さん、大谷育江さん、関智一さん、田中真弓さん、千葉繁さん、飛田展男さん、冨永み〜なさん、朴璐美さん、速水奨さん、平田広明さん、三ツ矢雄二さん、宮本充さん、森川智之さん。

声優を目指すなら必ず知っておくべきレジェンド級の方々。
お一方の芝居論だけでもお金払いたくなりますが、それが13人。よく一冊の本にできたなぁ〜とびっくりしました。

それをインタビュアーの藤津さんが、深いアニメ知識をもちながら、レジェンド達の経験を深く掘りおこされております。

現代のアニメ収録の流れ

まず、はじめにでインタビューの理解を深める為にアニメ収録の流れが丁寧に書かれていて、未経験の方はこの部分だけでも勉強になるかと思います。

2019年の初版ですので、内容も現在のものです。細かいしきたりや流れは現場によっても違いますが、共通の大枠をしっかりと記してくださっています。

多数のレジェンドの語り

一人を細かく細かく掘り下げるというというわけではなく、多くの方に、ここは聞きたい、という所フォーカスして聞いていく事が、この本の肝であり、その事がこれから目指す方へオススメできるポイントでもあります。

それぞれの生き方

しょっぱなのブロックから、声優になるつもりはなかったけど色んな経験を経て声優としても多くのご活躍をされるレジェンドの話が始まります。

夢を声優に設定すると、どういうルートで声優になるのか、というところはやはり頭を悩ます部分です。
何が正解なのか、自分も憧れの声優さんと同じルートでなろうとした経験があります。

でもここで語られているのは、まったく異質なところからデビューしたり、思ってもみない役柄から広がっていったり、性格も芝居感もとても個性豊かです。

だからこそ、荒削りであろうと型にはまらない魅力に深く魅了される人が増えていくのでしょう。

時代感も変わってきて、昔はゴリゴリ怒られながら、ストレスハゲをこさえながら技術を学んでいく時代から、今はニコニコOK出しながら二度と使われないというような事もあると聞きます。

どちらが良いかはさておき、
中々現場で失敗しながら学んでいくというような悠長な事もいっていられない状況だとは思いますが、

王道の声優への道の進み方をして周りと同じ技術を吸収して角が丸くなってしまうということも大いにあります。

役のキャスティングの話を聞いても、意外性があるから選ばれたという話もたくさん出てきます。

掃いて捨てるほど志望者であふれかえる時代、自分の選ぶ道はこれで本当に誰かに熱狂を与えらえるのか、
今一度考えるタイミングをくれる話が多くあります。

それぞれのきっかけ

なるつもりはなかったなんていう人も多くいるくらいですから、

目指すきっかけについても、大層なものが無くてもいいんだなと安心させてくれます。

もちろん全員が、やるからには命削って役と向き合っているんだなというエピソードばかりで、背筋が伸びる思いなので、仕事への責任感というものは大前提ですが。

芝居へのアプローチ

純粋にそれぞれの芝居感、大事にしていること、アプローチ方法などが満載なので、単純にある程度経験している自分が読んでもかなり参考になります。

キャストだけではなく、音響監督などもして、総合的に作品としての音作りに関わる方もいらっしゃるので、洗練された伝え方も含めて、なるほどーと唸る事も多かったです。

個人的には井上和彦さんの焚火の話を読んで、ああー、ほんとすみません!という気持ちになりました。

逆に、突き詰めると芝居との向き合い方も人それぞれ。絶対の正解などなく、自分の腑に落ちるアプローチで役に説得力が生まれ、それを使いたい人がいればそれが正解なんだとも思えます。

プロも一生勉強

芝居は一生勉強とはよく言われます。まぁどの業界でもそういえますが。

ただ簡単にプロに相対することの無い若手は、彼らはなんなく超クオリティの表現ができて完璧であり続けているんだというイメージを持ってしまいがちです。

でも今思えばあれは違っていたなぁとか、もっとできたなぁ、プロでさえ同じ事をやるのは中々鮮度が保てないものだ、などということを赤裸々に向き合って語るベテランの姿に、

完璧である事が選ばれる条件ではない、ということや、その中でも常に自分の最高を更新し続ける事が長くやっていく条件なのだなぁという事を改めて突きつけられます。

といいつつ次もしっかり呼ばれているんですから、超高レベルの自省なんでしょうけどね。

まとめ

ということで、こちらの本は売れている人の話を多角的に読める本なので、

  • ・正解が欲しいと思っちゃう人
  • ・自分が目指していいのだろうかと悩む人
  • ・役柄のアプローチに自信が持てない人
  • ・単純に声優としてのノウハウがたくさん欲しい人

などにとってはとても良い本なのではないでしょうか。

具体的なこの時のこの作品の役作り、という風に話は進んでいきますので、

悩みや試行錯誤も含めて、こういうアプローチの時なのかぁと、その作品をみながら芝居に注目してみると、さらに深く分析できて、とても為になるのではないかなぁと思います。

いやーしかし、ボヘっと生きてるマンからすると、それぞれがここまで細かーく過去を掘り下げて振り返れるということ自体がびっくりで、一作一作で本当に命削って、脳が焼ききれんばかりに向き合うからこそなんだろうなーと感嘆します。

ちなみにこちら、インタビューの連載を集めた本になっていますが、ふと手にとったこの本は前後編の後編だったようです。汗

ただ内容的にどちらから読んでも大丈夫な内容になっていますし、気になる声優さんがいる方だけでもよし。両方でもよし。自分もまた前編を読んでたくさん吸収してみようと思います。

自分が若く悩んでいたときにこんな本があればなぁという一冊、気になる人は是非。