ボイスオーバー 解説

【ボイスオーバーで】日本語と英語の違い【この理解は大切】

ひろ
ひろ
こんにちわ、ひろです。

専業でボイスオーバーアーティストを生業にしています。

まずボイスオーバーってなに?という人はこちら。

要するに、「声優・ナレーションをはじめとする宅録で行う声のお仕事全般」を指します。

専業1年目にしてボイスオーバーで月収50万円を達成した経験を元に、

声を仕事にしてみたい、副業を作りたいという人、

TV・アニメで活躍する声優やナレーターを目指しているという方へも、

有益な情報をお届けしたいと思っています。

日本語と英語の違い

さてさて、先日ボイスオーバーにおける日本の環境や、円安などの話もしましたが、

海外案件というのは今後もボイスオーバーにおいて主力の案件となっていくことが予想されます。

その上で、やはり吹き替え案件も多いです。英語では「dubbing」と言うふうに言われますが、

そう言った時に、あまり意識したことが無い日本語と英語の違いを感じます。

もちろんスタジオ現場での洋画吹き替えの仕事やレッスンでも感じていたことですが、

そういったものには、専属の翻訳のエキスパートがいらっしゃって、細かい調整はそう言った方々にまかせ、

我々はもらったものを読んで、おー、ぴったり〜とか思ったり、ちょっと早いけど頑張って合わせよう。ってなもんで進んで行きます。

が、溢れる世界のエンタメ、広告にそんな余裕はありません。

こんな原稿原音の尺に入るわけないやろ!という現象が生じてきます。それも日本ならではといったところなのでしょうが、そういった知見を共有して、そういうもんなんだーと思ってもらえれば幸いです。

日本語は英語よりも基本的に長い

一番の基本的にわかっておくべきなのはこれです。

特にe-learningなど、内容の削りようがないものを吹き替える時が大変なのですが、日本語は長いのです。

主語とかは平気で無くしたりするくせに、ですますをはじめ、〜だったのです。だとか語尾にやたらバリエーションがあるわ、修飾する、補足する言葉が長かったりとかします。

もちろん文章によっては日本語の方が短いパターンも中にはありますが、
基本的には直訳すると長くなる傾向があり、

吹き替え案件の依頼時には、その辺を意識しながら原稿をチェックしたりしないと、改めて直してもらったりなどの二度手間が発生してしまいます。

特にアルファベット

そしてかなり大きなギャップに陥りやすいのが、アルファベット読みの部分。

例えば「WBCが〜」とかいう原稿があった時に、

英語ではダボビシーくらいの感覚でさらっと行くのに対し、

日本語の場合は、きちんと読むには「ダブリュービーシーが〜」といかないといけないわけです。

特にエイチ、アール、ダブリューですよ。三文字以上のアルファベットが出てくるとぐっと長く感じます。

些細に感じるかもしれませんが、原音が特に切れ目なくしゃべるときには1音の差がしゃべるスピードを左右してくるのです。

母音がある日本語

アルファベットにつながってくる部分でもありますが、

aiuoeと、日本語には必ず1音の終わりに母音を入れないといけないと言う決まりがあります。

そしてそれが1音ずつの音を長くしていく要因でもあります。

そして日本語が明確に噛みやすいポイントでもありますよね。

77、nanajuunanaとか出てきた時など、「なな」と開きのある同じ音を出さないといけない時に、
高速で口を開け閉めしないといけません。

それはテンポを上げれば上げるほどきつくなってきます。

だから日本人は時として、

くぁwせdrftgyふじこlp

的な噛み方をするのかもしれませんね。

子音だけの音も多い流れるような発音の英語はどうなのでしょうね?
ペラペーラではないからわかりませんが、エグいくらいの噛み方をしてるのは聞いたことがありませんよね。
多少噛んでもごまかせそうな音の流れのようにも感じます。

「てにおは」に振り回される

これは日本語特有の特徴の話になってきますが、

日本語の難しさとして、助詞と語尾というのがあります。

英語でもam や wasのような使い分けもありますが、

日本語は助詞も複数あれば語尾もいろんな形があります。

テンポが速いと、なかなか予測しきれず助詞を間違えたり、意味はほぼあってるけど原稿とは違ってNGといったような事も多くあったりします。

抑揚の付け方

これも読みにおいては大きな違いです。

英語は強弱でアクセント、強調する場所をつけるのに対して、

日本語の場合は高低でアクセントをつけます。

は / し と頭が高いものと、

は し_ というように後ろが高いものというように、そこで意味を変えると言う性質もあるのです。

ということなので、

吹き替えする時に、尺が短めだからとテンポを上げて読む時に、

てにおはや語尾を間違えずに読めて、母音もしっかり立てて噛まずに読めたー!

と思ったさ最後にアクセントを間違えてたからもう一回、と言う事も平気でおきます。

・・・日本語難しすぎません?

バイリンガルプレイヤーにも聞いてみたいですが、見た感じ中々難易度高い言語なんじゃないかなーと思ったりしています。

ただだからこそ、美しい日本語を操るプロフェッショナルと素人の間にはしっかりと差があり、

それが長く活躍できる為のスキルとして大切なわけなんですね。

まとめ

ということで、ボイスオーバーにおける日本語と英語の違いでした。

まだまだ差はありそうなので、気付いたらまたあげていきたいと思います。

中々映画のように尺に収める為に、意訳(直訳よりも、ニュアンスや流れを重視した訳)するわけにもいかず、
長々としてしまう英語喋りの日本語訳。

それをうまくこなしていく為には、揺るぎない滑舌の良さと、文を読む時に立てどころなどを間違えず読むことが大切で、そうでないと、聞き手に大切なことが伝わらない読みになってしまいます。

言語としての特質もしっかりと理解しながら、主力の海外案件を十分に取れるよう頑張っていきましょうね。

ではでは。